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2号機圧力容器内の温度がさらに上昇し、12日正午には79℃を超えました。上のグラフは、原子炉圧力容器底部の温度変化(赤線)と原子炉への注水量(青線)を表しています。
今日の記者会見で、東電はついに「温度計の故障」説を持ち出してきました。「ちゃんと働いているような故障モードがあるのかどうか検討中」などと訳の分からないことまで言っています。驚きです。
温度というのは「発生する熱」と「失われる熱」のバランスによって決まります。メルトダウンした核燃料が崩壊熱を出し続けています。その燃料を水で冷却しています。つまり、水が燃料の熱を奪っています。そのきわどいバランスによって温度が決まります。
東電は7日には温度が70℃まで上昇したため、注水量を大幅に増やしました。発熱量が同じならば、冷却を増やしたわけですから温度は下がって当然です。10日にかけていったんわずかに下がりました。ところが、注水量が同じなのに今度は温度が上がってきました。かなり急激に上がっています。12日正午には79.1℃まで上がって、80℃目前になっています。80℃が目安になっているのは「冷温停止状態」見極めの条件だからです。
東電はなんとしても80℃を超させないように、この際汚染水の増加に目をつむって、がんがん注水しています。東電は現在毎時15トンも入れています。もし原子炉に穴が開いていなければ4日で満タンになるほどの量ですが、ダダ漏れなので格納容器へ、さらに建屋地下へと漏れていき汚染水となって溜まっていきます。汚染水のさらなる増加というジレンマがあるにもかかわらず、とにかく水を入れるしか方法がないのです。原子炉建屋内溜まり水の水位も6日以降わずかに上昇しています(+94mm)。
東電は記者会見の中で、問題の温度計の「トラブル」の可能性にも言及しました。80℃超えを目前に「故障」説をほのめかすのは、どうもあやしい動きです。まさか、80℃超えたとたんに「故障」するなんてことは無いと思いますが・・・。また、この温度計だけが高くなっても「全体としては安定」として「冷温停止状態」の判断には「ただちに影響ない」とまで言っています。
高い温度を示している温度計が故障というならば、低い温度を出している方の2つの温度計が故障している可能性はないのでしょうか。もし、正しいデータが採れないのであれば、原子炉内の状態がまったく分からないということです。にもかかわらず「冷温停止状態」とよく言えるものです。もはや、状況が言葉を決めるのではなく、言葉が状況を決めています。
2号機 温度計の1つ上昇傾向続く(NHK2/12 12:12)
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東電2/12午前の定例記者会見
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<<追記>>ついに80℃を超えました。現在毎時17トン注水中。原子炉が1日で満タンになるほどの量(NHKニュース) 毎日新聞(2/12、18:05)
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