地震を過小評価〓大飯原発ストレステスト
2012-02-18


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大飯原発3、4号機の再稼働に向けたストレステスト評価が最終段階に入っています。地震と津波に対する耐性チェックが評価の柱です。ところが、その前提条件に大きな疑問があります。このままでは、再び「想定外」の大事故を引き起こす恐れがあります。
 原発は「そこで起こりうる最大規模の地震」に耐えることが前提で作られ運転されています。ところがその地震想定が過小評価されている疑いがこの大飯原発でも指摘されています。( 1/28の読売新聞)これまで最大規模の地震として想定していた断層とは別にもう一つの断層が連動して動く可能性があるのです。そうなると、これまでの想定よりはるかに規模の大きな地震が発生するので、これまでの安全評価は成り立たないというのことです。
 上の図をご覧ください。海底探査で確認したFo-B断層とFo-A断層の2本はおそらく連続していると考えられます。大飯原発の目の前の小浜湾内で切れています。その先、琵琶湖方面に向かって熊川断層が存在します。これらはほぼ直線上に並んでいて、地下で連続している可能性は否定できません。小浜湾内海底で切れていますが、海底探査では断層を確認できないこともあります。したがって、最大規模の地震を想定する際は、これら3つの活断層が連動して動くと考えるべきです。地震学者の石橋克彦氏は、3連動で1260ガルを超えると警告しています。
 大飯原発の想定する基準地震動はFo-BとFo-A断層の2連動で700ガルというものです。今回のストレステストでは、コンピュータシミュレーションの結果、基準の1.8倍まで耐えられることが分かったと報告しています。700ガルの1.8倍は1260ガルです。なんと、石橋氏が警告する1260ガルとぴったり同じです。これでは余裕度ゼロということになって、とても「安全」と言えるレベルではありません。
 国は今になって活断層3連動を想定した基準地震動の再検討を指示しています。この報告が今月末には出る予定です。まだまだ、そんな出発点以前の段階なのに、世の中の話は再稼働の最終判断などと騒いでいます。これまで何十年も地震に襲われず運転が続けられてきたのは、単なる幸運に過ぎなかったのかもしれないのです。若狭湾原発銀座一帯は活断層が縦横に走り、いつ直下型大地震が発生するかわかりません。再稼働などとんでもないことです。
 実は地震のリスクを突き詰めていくと日本には原発は存在しえないのです。2007年の中越沖地震では柏崎刈羽原発直下で想定外の活断層が動き、想定をはるかに超える地震動に見舞われました。同原発3号機ではタービン建屋1階で2058ガル(想定834ガルの2.45倍)、原子炉建屋基礎で384ガル(想定193ガルの1.98倍)を観測、もちろん3号機は地震以来現在も止まったままです。国は想定を超えても大事故を起こさなかったなどと開き直っていますが、想定自体が間違っていたことは極めて深刻です。その時破壊しなかったとはいっても、耐性限界値を超える力が加わった原発を再び使い続けることはできません。今回の福島第1原発でも、2,3、5号機で想定値を超える揺れが観測されています。
 そもそも国はこれまで各地の原発差し止め裁判や説明会の場で「想定を超える地震は絶対に起こりえない」と言ってきました。これまで、宮城県沖地震(1978年)で女川原発、能登半島地震(2007年)で志賀原発、前述の中越沖地震(2007年)で柏崎刈羽原発、そして今度の福島原発と、現実には次々と想定値を上回る地震が発生しているのです。その度に想定外を繰り返してきました。
 太平洋沿岸のプレート境界で巨大地震が起こると言うことは、皆さんご存知ですが、日本海側にもプレート境界があって地震多発地帯であることは意外と知られていません。ユーラシアプレートと北米プレートが衝突しているところです。そこは、日本海東縁変動帯と言われています。さらに新潟から阪神大震災のあった神戸付近まで

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