トラブル続き「韓国の原発」〓西風の恐怖
2012-03-16


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もし、韓国で原発事故が起きれば日本は大きな影響を受けます。西風に乗って放射能が流れてくるからです。上の地図は、韓国の古里原発が大事故を起こした場合の放射能拡散をイメージしたものです。昨年3/15福島原発から放出された放射能拡散シミュレーション図を切り貼りしてみました。日本付近は偏西風帯に位置するため、年間を通して西風が主流となっています。福島の場合も本州東岸にあったため、ほとんどの放射能は太平洋に拡散していきました。しかし、日本海側や西日本の原発、はては韓国や中国の原発が事故を起こせば、日本全体に放射能が拡散してくる恐れがあります。
 実は、韓国は米、仏、日、露に次ぐ世界第5位の原発大国で、国内4ヶ所に21基の原子炉があります。すぐ隣の国にこれだけたくさんの原発があることをどう考えますか。韓国で日本にもっとも近い釜山市の郊外にある古里(コリ)原発、先月ここで「全電源喪失(ブラックアウト)」事故がありました。
 2/9、定期検査で停止中の古里原発1号機で、外部電源が遮断され停電、非常用発電機も起動せず、すべての電力が失われた状態、いわゆるステーション・ブラックアウトが12分間にわたって続きました。幸い、外部電源が復旧して事なきを得ましたが、万一事態が長引けば「福島原発事故」の悪夢が繰り返されるところでした。さらに、電力会社がこの事故を原子力安全委員会に報告せず1ヶ月も隠蔽していたことが問題になっています。

 そこで今回は、前から気になっていた韓国の原発事情についてまとめてみました。
 現在、韓国の原発には二つの世界1があります。それは「原発密度」と「原発稼働率」です。
 「原発密度」というのは国土の広さに対する原発の数です。韓国では、国土面積1万平方キロメートル当たりの原子炉が2.1基で世界1の密度です。日本でさえ1.4、フランス1.1、アメリカ0.1、ロシア0.02などと比べてかなり高密度ということが分かります。しかも、一ヶ所に複数集中立地しています。今後さらに、建設中7基、計画中6基を加え、2014年までに合計34基、原発密度3.4という超過密原発大国になろうとしています。世界的に見れば、日本と韓国という狭いエリアに、合わせて75基もの原発が集中しているという見方もできます。
 「原発稼働率」は原発の発電能力に対して実際に発電している割合です。韓国の原発稼働率はなんと95%!、世界1です。ちなみに3.11以前の日本では60%、フランスでも75%ほどです。韓国では20ヶ月連続運転して1ヶ月の定期点検というサイクルで運用しています。ですから、通常は点検停止中の原発は全国で1基のみ、あとはすべて運転中という、ほぼフル稼働の状態を続けています。
 面積密度と時間密度がともに高いので経済効率が非常に高いというのが韓国の原発の特徴です。これは、経済効率を最優先に思い切って原発推進政策を進めてきた結果です。
 このような高密度運転を続けて大丈夫なのでしょうか?実は、非常に危険で、これまでも大小さまざまなトラブルや故障を繰り返しています。今回の事故などもし電源が回復しなければ重大事故に発展する恐れがありました。
 3.11直後、李明博大統領は「韓国の原発は安全」と宣言していましたが、3.11以後だけみても、頻繁にトラブルを繰り返しています。
  4/12 古里1号機、スイッチ部品の破損で停止
  4/19 古里4号機、外部電源が1時間半遮断、非常用ディーゼル発電機作動
 6/21 古里2号機、送電トラブルで停止
 11月 蔚珍(ウルチン)原発4号機、伝熱細管3800本以上損傷見つかる(定検中)
 12月 古里原発に中古部品が使われていたことが判明、検察捜査
 12/13 蔚珍原発1号機、警報により停止
 12/14 古里3号機、過剰電圧発生のため自動停止
  1/12 月城(ウォルソン)原発1号機、冷却材ポンプの故障で自動停止
  2/9 古里1号機、12分間にわたり全電源喪失(定検中)
 たった1年の間でもこれだけたくさんのトラブルが起きています。特に、3.11以後は韓国でも原発に対する国民の不安が高まっています。

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