文科省「放射線副読本」のお金の出所
2012-05-25


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最近、子どもがこんなものを学校からもらってきたけど「放射線副読本」って何?という話を聞くことがあります。もしかして!と驚いて良く聞いてみると、去年文科省が作った問題だらけの副読本そのものでした。私も見通しが甘かったことを悔やみます。まさか本気で全国の小中高生に配布するとまでは思っていませんでした。3.11以前にも、原子力教育に関する副読本がありましたが、少なくとも高校では教員分の何冊かしか配られていませんでした。もちろんそんなものは誰も見ていません。ところが、今回は段ボール箱で何箱もドカンと届けられています。まず思ったことは、一体いくらお金がかかってる?ってことでした。
 おそらく全国的に4月以降配布が始まっているようです。学校現場の対応ではいろいろな話を聞いています。すでに生徒に配布した学校、取り扱いでもめている学校、はっきり使わないという学校、開封もされず積んだままお蔵入りの学校などいろいろです。今のところ私の周りでは授業に使ったと言う話は聞いていません。私の学校では教員にだけ配布して残りは保管してあります。これはあくまで副読本ですから、それを各学校でどのように使うかということは、もちろん現場の判断です。
 この副読本、最大の問題はもちろんその内容です。それについては、以前、当ブログでも書いたことがありました。簡単に言えば「放射線安全神話を子どもたちに刷り込むための国策教材」です。原発事故にはまったく触れずに「大丈夫!放射線は怖くないんだよ」と子どもたちに教える教材になっています。副読本の内容に関する詳しい検証や反論は下にリンクとしてまとめましたのでぜひご活用下さい。
 もう一つの大きな問題は作った所とお金の出所です。文科省が副読本の作成を委託したのは「日本原子力文化振興財団」。3.11以前には「わくわく原子力ランド!」などという原発推進の副読本を作っていたところです。この財団、理事長は元中部電力副社長、電力OBが天下っている典型的な原子力ムラのメンバーです。昨年3/9に、従来の「原子力推進」副読本制作を2100万円で落札、ところが原発事故を受けて中身を「放射線」副読本に変え、費用も3700万円に増額してそのまま委託されました。その後、この問題では文科相も陳謝していますが、内容に問題はないとしてそのまま制作が進められました。
 全国の小中高校、幼稚園、公民館、図書館すべてに配布するのですから相当の費用がかかるでしょう。これらの施設は7万5000カ所、児童生徒数は1500万人近くになります。発送経費だけでも1億円以上かかるのではないでしょうか。これらはすべて税金から出ています。
 文科省は「放射線等に関する教育への取組を支援する事業」として8億2400万円(平成23年度)の予算を組んでいました。内訳は、都道府県交付金に3億5000万円と、学校教育の場などでの放射線等に関する教育の取組の充実を図る事業の実施による支援に4億7300万円で、この中に今回の副読本に関する経費が入っています。
 これらの予算は政府部内の政策経費項目では「原子力教育支援事業委託費」として分類されています。担当する部署は「研究開発局原子力課立地地域対策室」で、施策名は「原子力分野の研究・開発・利用の推進」となっています。なんと、原子力推進のための部署が子どもたちの副読本を作っているのです。
 もっと驚くべきことには、お金は文科省の一般会計ではありません。エネルギー対策特別会計(略してエネルギー特会)の電源開発促進勘定から出ています。あの悪名高い原発推進のための特別会計です(総額3300億円)。そもそも、そのお金は「電源開発促進税」として私たちが電気料金の中で支払っているのです(1世帯当たり月平均110円)。

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