電気が足りないって本当ですか?〓関西電力
2012-07-14


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「えーっ、電気が足りないから原発動かしたんじゃないの?!」という友人の素朴な疑問の声に、私は考え込んでしまいました。関西電力は大飯原発を再稼動させたとたんに火力をいくつも止めました。今、電気が余っているのですから、それは当然のことです。でも、ごく素朴に電気が足りないと思っている人から見れば、何か変?どこかおかしい?。そこのところに気がついてほしいと思います。

 上のグラフは、関西電力が毎日発表している「本日の供給力(内訳)」を棒グラフで、実際に記録した最大電力需要(赤線)最小需要(青線)を折れ線グラフで表したものです。ちょうど大飯原発が再稼働してフル稼働した前後の需給状況を調べるために作りました。右には関電が政府に提出した供給力内訳と政府需給検証委員でもあった飯田哲也氏が試算した見積りが並べてあります。
 基本的には火力で需給調整を行っていることがわかります。昼夜や週間の変化に対しては火力をON-OFFして対応しています。不思議なのは揚水発電の見積りです。関西電力が政府に示したのは222〓328万kWですが、すでに関電は400万kW以上の数字を出してきています。飯田氏の試算では465万kW(設備容量は506万kW)ですから、大きな開きがあります。いずれにしても、実績データが公表されていないのでこれ以上検証しようがありません。

 「電気が足りない」というのは特殊な状況です。真夏の平日の猛暑日の午後、ピーク期のピーク時に、電力需要がうなぎ上りになれば、もしかして起こるかもしれない状況のことをいっています。日常的にはまったく「電気は足りている」し、むしろ余っています。
 ところが、電力会社、政府、マスコミこぞって、日夜「電力不足」キャンペーンを張っていますので、いつのまにか多くの人が「電気は足りない」と思い込んでいます。そして、“電気が足りないなら原発を動かしてもしかたない”・・・という空気が作られようとしています。
 本当に必要なのは電力不足の「宣伝」ではなくて「検証」です。そのために、全発電設備の運転状況を公表すべきです。現在どの発電所が稼動してどれだけの電気を作っているのか、そんなことは企業秘密でもなんでもないはずです。
 不思議なことに、原発のリアルタイム運転状況はホームページに載っています。関西電力では保有する11基の運転状況がずらりと見れます。現在、大飯原発3号機1基だけが稼動しフル出力の発電を行っていることがわかります。
 ところが、なんら秘密にする必要のない火力発電所や水力発電所の運転状況はどこを見ても分かりません。揚水発電所の稼働状況(揚水量と発電量)も、他社からの買電や融通状況もわかりません。大事なことは何一つ分かりません。
 単に「本日の供給力」という言い値だけが示されて、それに対して80%だの90%と騒いでいます。供給力を多めに言っておけば余裕、少なめに言っておけば厳しくなるだけです。供給力という「言い値」を裏付けるデータは一切示されていません。昨年から何度か発表されている「供給力」は発表のたびに数字が変わりました。批判を受けるたびに上方修正されています。揚水発電の見積もりなど、いまだに数百万kWもさばを読んでいる疑いがあります。
 本格的な夏を迎えてまたぞろ「電力不足」の大合唱ですが、きちんと検証すべきです。まずは、電力需要とそれに対する発電状況に関するデータをすべて公表することです。原発と同じように、火力も水力も揚水もすべての発電状況をリアルタイムで公表してください。技術的にできないはずはありません。それとも、見せたくない隠したいということでしょうか。
 もっとも、いつも思うのですが、こんなことはマスコミがやれば簡単に分かることだと思います。電力会社や政府の発表をそのまま垂れ流すだけのマスコミは、報道機関ではなく単なる広報機関です。少なくとも「電力不足」が本当かどうか検証して、その上で報道すべきです。

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