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早いもので、子どもたちの夏休みもすでに半分を過ぎようとしています。気になるのは宿題ですが、自由研究がまだこれからというお子さんに、こんな自由研究はいかがでしょう。
その名も「放射線の大研究」、子ども向けの本としては待ちに待った、難しい放射線をやさしく噛み砕いて解説する、まさに決定版とも言える本が出ました。8月1日発行のできたてのホヤホヤです。監修は「原子力教育を考える会」、PHP研究所の「楽しい調べ学習」シリーズの中の一冊として発行されました。図書館においてあるようなハードカバーのちょっと大きめな本で、定価は2800円です。
「原子力教育を考える会」は、原子力資料情報室に集まった学校教育に関心のある人たちによってつくられたグループです。文科省の放射線副読本にみるように、これまで放射線や原発に関する学校教育はほとんど電力会社や政府の広報となって、一方的な情報に偏っていました。これに対し、原子力のマイナス面もふくめた公正な情報を提供することをテーマとして活動している人たちです。
内容を簡単にご紹介します。
私はまず表紙の絵に感動しました。DNAが放射線の電離作用によって切断されている絵です。
<はじめに>と<この本の特徴>には、この本のコンセプトがよく分かるので、そっくり紹介してしまいます。
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<はじめに>
2011年3月11日の東日本大震災によって福島第一原子力発電所の6基の原子炉のうち4基に大事故がおき、1年以上たった今もまだ安全な状況にはなっていません。たくさんの使用済み核燃料が入った燃料プールが、大きな余震にたえられるのか、だれにもわかりません。この状態がこの先何年続くのか、それもわかりません。
原子炉から放出された放射性物質(死の灰)が福島県をはじめ、東北地方や関東地方の多くの土地や海洋を汚染しました。その結果、その土地に住み続けなければならない人や、そこでとれた農作物、海産物を食べる人の健康が心配されています。おもな汚染の原因である放射性セシウム137の量は、30年たってもようやく半分になるだけですから、これから私たちはいやおうなしに放射能とつきあっていかなければなりません。そして、その中で健康を守っていくためには、放射線や放射能のことをよく知ることが必要です。
事故がおきて、はじめて原子力発電にはこのように深刻な危険がともなうことに気がついた人が多いと思います。それはなぜでしょうか。
これまで学校やテレビ、新聞などで、原子力発電の本当の姿を教えてこなかったためではないでしょうか。
この本では、原子とは何かからはじめ、原子力発電の原理や、発電にともなって出てくる放射線が人体にどのように影響するのかなどについて解説します。
読者の皆さんがこれからどのようなエネルギーを選択していくのがよいのか、考えるための資料となれば幸いです。
<この本の特徴>
大地震と大津波による福島第一原子力発電所の水素爆発事故により、大量の放射性物質が放出され、大地に降り注ぎ、山や川、海を汚染しました。しかし、私たち人間は放射能を無毒化する手段をもっていません。今後何千年、何万年ものとても長い間、放射性物質に汚染された世界で生きていかなければなりません。
本書は、放射線について、できるだけわかりやすく説明しています。放射線を正しく知ることで、なぜ危ないのか、どのように自分の身を守ればよいかを考えてもらいたいと思っています。
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<目次>
1章 放射線の基礎知識
・放射線って、なんだろう?
・放射線には、どんな種類があるの?
・内部被ばくと外部被ばくはどうちがう?
・放射性物質には、どんなものがあるの?
・放射性物質は、いつか消えてなくなるの?
・シーベルトやベクレルって、どんな単位?
・放射線はいつからあるの?
・人がつくった放射線はどんなもの?
・くらしに放射線が使われているの?
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