北海道「大停電」と「原発」〓こじつけ電力危機
2012-11-30


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もしも泊原発がフル稼働してその代わりに火力が止まっていれば、広域大停電になった可能性もあります。巨大発電所で集中発送電するシステムは非常時には極めて弱いシステムです。重要な所を一カ所やられれば全体がやられます。中小規模の発電所をネットワークで繋ぎ消費に合わせて融通送電するシステムであれば、どこかがダウンしてもどこかに助けてもらうことができます。この方が災害時に強いはずです。一部のマスコミは泊原発の停止が停電リスクを高めているような「こじつけ」を展開していますが、まったく逆なのです。原発中央集権こそ停電リスクを高めているのです。たった25mの風で倒れるような足下の老朽鉄塔を放置して原発に多額の投資をしてきたツケではないでしょうか。
 余談ですが、過去日本で起きた主な「大停電」について紹介します。2005年12月新潟県で、最大で65万戸が停電、最長で30時間にわたる広域大停電が起きました。原因は今回と同じく暴風雪によるギャロッピング現象です。2006年8月には東京を中心に139万戸が停電した首都圏大停電が発生しています。これはクレーン船による27万ボルト送電線切断によるものです。幸い短時間で復旧しています。1987年7月にはさらに大規模な280万戸が停電する首都圏大停電がありました。このときは電力需要急増に対する東電の対処ミスが原因です。1965年には関西全域が停電したこともあります。これは御母衣水力発電所近くの送電鉄塔が台風により倒壊したことが原因でした。
 しかし、何と言っても最大の「大停電」は、2011年3月に東電が行った「計画停電」ではないでしょうか。予告輪番制ですが最大で1日1500万戸以上が停電になりました。直接的には地震による発電所の停止が原因ですが、東電は大口需給調整や緻密な需給予測を行わずに混乱に乗じて安易に停電を実施しました。この停電が人々に与えた心理的影響は大きなものでした。結果的に、それ以後「電力危機」と「原発危機」が相反し対立する意識となっています。
 今回の北海道の停電事故も格好の「電力危機」ネタにされています。しかも、総選挙というタイミングで無理矢理「原発停止による危機」にこじつけるマスコミや政治家が出て来て本当に困ったものです。

北海道電力の主な電力設備分布図(北電)

倒壊した鉄塔の位置図(北電)

暗闇の登別「泊原発なければ冬乗り切れぬ」北海道大規模停電ルポ(産経ニュース11/29)

再生エネ阻む貧弱送電網(朝日新聞6/14)途中まで

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