井戸川町長退任の挨拶
2013-01-24


全村避難をしている福島県双葉町の井戸川町長が退任することになりました。町議会から突然の不信任を突きつけられ、議会解散、そして無投票で議会が再選されるという流れの中で「限界を感じた」として辞職を決意したということです。これまで国の安易な除染&帰還政策に異論を唱え、「福島県内の多くの場所は、今なお人が住んではいけない汚染状況にある」と訴え続けていました。国に抵抗する町長を引きずり下ろそうとする何らかの背後の力が働いたのではと勘ぐりたくなります。双葉町のホームページに町長の退任挨拶が掲載されています。リンクでなくあえて全文転載してご紹介したいと思います。

以下双葉町ホームページより転載

双葉町は永遠に
 私たちは前例の無い避難という過酷な状況に置かれています。いつまでも海原を漂流するわけにはいきません。早く上陸地を国が準備して、再興できる日を求めてきました。しかし、時間が足りませんでした。
 放射能のないところで平和な、皆が集える町ができることを祈り町民の安寧を願って、私は本日、双葉町長の辞職申し出をしました。
 私の今までの取り組みから次のことを申し上げたいと存じます。

1 事故に負けない
 原発事故で負けるということは、今のまま、何もしないことである。
 双葉町民には負けてほしくない。勝ってそれぞれ生き抜いてもらいたい。今はそれぞれの地に離れて住もうとも、廃炉が完了して故郷から放射能の危険が去り、自然と共生出来るようになったら再結集しよう。
 我が子どもたちへ、この悔しさを忘れることなく、何としても生き抜いて何倍も幸せな双葉町を再建していただきたい。そのためにも負けないで学び、求められる人になれ。世界の雄になってもらいたい。
(1) 負けないということは以下のことを忘れないこと
@避難してくださいと国から頼まれたこと。
A東電と国は事故を絶対起こさないと言っていたこと。
B町と県と東電には安全協定があること。
C事故は我々が起こしたものではないこと。
D正式な謝罪と見舞いがないこと。(形のあるものではないこと)
E自分の権利は自分以外に行使できないこと。
F被ばくさせられたこと。
G放射能の片付けをさせられること。
H20msv/yで町へ帰ること。(一般公衆の限度は1msv/y以下)
(2) 勝つためには何をしなければならないか
@事故の原因者を確定すること。
A我々の受けた損害のメニュー作成すること。
B損害の積算をすること。
C回復の請求をすること。
D回復の限界と代替を請求すること。(仮の町、借りの町)
E立証責任の不存在を共有すること。
F気づくこと。
G水俣の住民の苦難を学ぶこと。
H広島・長崎の住民の方に聞くこと。
I避難先の皆さんの恩を忘れないこと。
J多くの町民が健全な遺伝子を保つこと。
Kウクライナの現実を確認して同じテツを踏まないこと。
(3) 町民の力を結集すること
@役割分担をすること。
 ・汚染調査 ・除染問題 ・賠償問題
 ・住居問題 ・職場問題 ・健康問題
 ・墓地問題 ・学校問題 ・中間貯蔵施設問題
 などの調査研究する組織をつくり町民の不利益を解消すること。
A事故調査委員会をつくること
 事故の報告書には避難を強制された住民の実態が語られていない。外部に任せていたらいい加減に処理されてしまうので、委員会を町独自に構成して正しい記録を残さなければならない。
2 主張する権利を行使する
@見守り隊の組織
A法律家の組織
B文書学事の組織
Cボランティア活動組織
D被ばく被害者団体の組織
などを組織して国民の主権と被害者の復権を勝ち取らなければならない。
3 この世には先人の教えがある
(1) 温故知新

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