農水省に聞きました
2011-04-07


「千葉県産の魚に値もつかず、農水省、風評被害排除へ通知」という記事が出ていました。海に放射能汚染が拡がる中、漁民の被害は甚大です。この通知で、「正当な理由なく取り扱いを拒むことは違法」とし、「科学的・客観的な根拠に基づく適切な行動」を求めています。 [URL]
 はてさて、「科学的・客観的な根拠」とはいったい何でしょう?これは大きな疑問です。これは、直接、農水省に聞いてみるしかないと思い、思い切って電話してみました。ホームページにはちゃんと電話番号と担当者名まで書いてあります。電話は意外とあっさりつながり、趣旨を伝えると、一般の方ですかというので、ハイと答えるました。以下、その時の話を簡単に紹介します。

農水省総合食料局流通課
Q、通知で言っている「科学的・客観的な根拠」とは何ですか?
A、はっきり言って難しいです。すでに検査した結果、基準を超えたもので、国が制限を指示したものや、検査の結果、県などが自粛を要請したものについては、「科学的・客観的な根拠がある」ということです。
Q、検査されているものは、ごく一部ですが、検査してない他のものは「安全」なのですか?
A、私どもは、市場に流通しているものは「安全」という大前提でやっています。
Q、農水省として検査をやっていますか?
A、農水省はやっていません。それは厚労省の担当です。魚については水産庁に聞いてください。

という話でした。水産庁の担当課まで教えてくれたので、次にそちらに電話しました。

水産庁増殖推進部漁場資源課
Q、水産物の放射能検査はやっていますか?農水省はやってないと聞きましたが?
A、いや、もちろんやっています。まずサンプリングを県や漁協にやってもらい、その検査を独立行政法人水産総合研究センターで行います。
Q、これから始める段階なのですか?
A、今日、船を出して採りに行ってます。
Q、その結果は、いつ発表されますか?
A、明日以降発表します。ホームページにも掲載します。
Q、調査海域は?
A、茨城県と千葉県沖です。
Q、市場に水揚げした魚の検査はしないのですか?
A、市場でも検査をします。
以上です。

 つまり、農水省は、やっと今日から魚の放射能検査を始めたということです。検査もしてないうちから「科学的・客観的な根拠」に基づけと言っても始まらないのでは。ともかく今日から検査に乗り出しました。しかし、海域、魚種、採取数、採取頻度等、充分なサンプリングを行って、「科学的に」有効な調査結果を示して国民を安心させることができるのでしょうか。明日の結果報告を見守りたいと思います。
 「流通しているものは安全」という言葉にはちょっと驚きました。これだけ放射能が各地で検出されている中で、私たちが食品の安全性に不安を抱くのは当然の反応です。それに、きちっと答えるのが国の責任ではないでしょうか。それこそ、「科学的・客観的な根拠」でものを言う態度ではないと感じました。「危険」であることが証明されているもの以外は「安全」という論理は、放射能をめぐる国の態度とも共通しています。確定的な影響の出る高レベルの放射線被曝についてははっきり「危険」と言いますが、将来ガンになるかもしれないというような低レベル被曝の確率的な影響については、十分「科学的」に証明されてないとして、「ただちに影響はない」と言い、いつの間にか「安全」と言ってしまう。「危険」が「科学的」に証明されていないから、「安全」だなんて、科学でもなんでもありません。

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